放射線とは何?レントゲンとの違いや体への影響を現役放射線技師がわかりやすく解説
こんにちは。放射線技師のPotetoです。
病院でレントゲンやCT検査を受けるとき、「放射線を使います」と説明されることがありますよね。
「そもそも放射線って何?」
「放射線は目に見えるの?」
「レントゲンと放射線は同じもの?」
「体に当たった放射線は残るの?」
「放射線」という言葉は知っていても、実際にどのようなものなのか説明するのは意外と難しいと思います。
結論からお伝えすると、放射線とは、空間や物質の中を進んでエネルギーを運ぶ粒子や電磁波の総称です。
難しく聞こえるかもしれませんが、私たちは病院だけでなく、普段の生活の中でも自然界から少量の放射線を受けています。
今回は「放射線ってそもそも何なの?」という疑問を、できるだけ専門用語を使わずに解説します。
放射線とは何?簡単にいうと「エネルギーを運ぶもの」
放射線にはいくつもの種類がありますが、大きく分けると電磁波として進むものと粒子として飛んでいくものがあります。
病院のレントゲン検査やCT検査で使われているX線は、電磁波の一種です。
電磁波という言葉を聞くと難しく感じますが、私たちの身近なところにも、
- 電波
- 赤外線
- 目に見える光(可視光線)
- 紫外線
など、さまざまな電磁波があります。
ただし、X線は可視光線などよりも高いエネルギーを持ち、物質を通り抜ける性質があります。この性質を医療に利用しているのがレントゲン検査やCT検査です。
放射線にはどんな種類があるの?
「放射線=X線」と思われることがありますが、放射線にはさまざまな種類があります。
- X線
- ガンマ線
- アルファ線
- ベータ線
- 中性子線
このうち、一般的なレントゲン検査やCT検査で使用しているのがX線です。
一方、核医学検査では放射性医薬品から出る放射線を利用しますし、放射線治療では病気を治療するために高いエネルギーの放射線を利用します。
つまり「放射線」という大きなグループの中に、X線などさまざまな種類があると考えると分かりやすいでしょう。
「放射線」「放射能」「放射性物質」は何が違う?
ニュースなどでは「放射線」「放射能」「放射性物質」という言葉が使われますが、この3つは同じ意味ではありません。
放射線:物質などから放出される粒子や電磁波
放射能:放射線を出す能力
放射性物質:放射線を出す性質を持つ物質
よく使われるのが「懐中電灯」に例える方法です。
懐中電灯そのものを「放射性物質」、光を出す能力を「放射能」、そこから出てくる光を「放射線」と考えると、違いをイメージしやすいと思います。


なぜ放射線で体の中が見えるの?
X線には体を通り抜ける性質があります。
しかし、すべての場所を同じように通り抜けるわけではありません。
例えば骨はX線を通しにくく、肺の中にある空気は比較的X線を通しやすいという違いがあります。
この「体の組織によってX線の通りやすさが違う」という性質を利用して画像を作っています。
レントゲンでは一方向から見た画像を作り、CTでは体の周囲からX線の情報を集めて、体を輪切りにしたような画像を作ります。
放射線は目には見えませんが、その性質を利用することで、体を切らずに内部の状態を調べることができるのです。
放射線は病院にしか存在しないの?
実は、放射線は病院だけにある特別なものではありません。
私たちは普段の生活でも、宇宙、大地、空気、食べ物などに由来する自然放射線を受けながら生活しています。
地域などによって差はありますが、世界平均では自然放射線から年間約2.4mSv(ミリシーベルト)の被ばくを受けているとされています。
もちろん、「自然に存在するから医療被ばくもいくら受けても大丈夫」という意味ではありません。
医療では、検査によって得られるメリットと放射線による影響を考えながら、必要な範囲で適切に使用することが重要です。

レントゲンを撮ったあと、体に放射線は残る?
患者さんから意外とよく聞かれるのが、
「レントゲンを撮ったあと、体から放射線が出ているの?」
という質問です。
一般的なレントゲン検査やCT検査では、検査が終わったあとにX線が体の中に残ることはありません。
電気を消すと光が消えるように、X線の照射が終わればX線もなくなります。
そのため、レントゲンやCT検査を受けたあとに家族と一緒に過ごしたり、赤ちゃんを抱っこしたりしても、周囲の人がそのX線によって被ばくすることはありません。
ただし、放射性医薬品を体内に投与する核医学検査などは仕組みが異なります。検査によって注意事項がある場合には、病院から説明があります。
放射線は危険なもの?
「放射線」と聞くと、どうしても「怖い」「危険」というイメージを持つ方もいると思います。
放射線には人体へ影響を与える可能性があるため、むやみに使用してよいものではありません。
一方で、医療では放射線の性質を利用することで、骨折や肺炎、がん、脳出血など、さまざまな病気の発見や診断、治療に役立てています。
大切なのは、放射線をただ怖がることではなく、必要なときに、必要な量を適切に使用することです。
放射線技師は、診断に必要な画像を得ながら患者さんの被ばくをできるだけ少なくできるよう、撮影条件や撮影範囲などを調整しています。

「放射線」と聞くだけで怖く感じてしまう患者さんは少なくありません。目に見えないものなので、不安になるのも自然なことだと思います。
放射線技師は、ただX線を出して写真を撮っているわけではありません。必要な画像を得られる範囲で、できるだけ患者さんの被ばくを少なくすることも大切な仕事です。
検査を受けるときに被ばくについて気になることがあれば、遠慮せず放射線技師に聞いてくださいね。
まとめ
- 放射線とは、空間や物質の中を進みエネルギーを運ぶ粒子や電磁波の総称
- レントゲンやCTで使用するX線も放射線の一種
- X線の通りやすさの違いを利用して体の中を画像にしている
- 私たちは普段から自然放射線を受けながら生活している
- レントゲンやCTのX線が検査後に体内へ残ることはない
- 医療では必要性を考えながら適切な量の放射線を使用している
放射線は目には見えませんが、現代の医療に欠かせない存在です。
「放射線=怖いもの」と考えるのではなく、まずはどのようなものなのかを正しく知ることが、不安を減らす第一歩になると思います。
参考文献
- 国際放射線防護委員会(ICRP)Publication 103:The 2007 Recommendations of the International Commission on Radiological Protection
- 原子力安全研究協会「新版 生活環境放射線(国民線量の算定)」
- 国連科学委員会(UNSCEAR)Sources and Effects of Ionizing Radiation
- 環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」
- 更新日:2026/9/3
- 執筆:診療放射線技師【Poteto/放射線管理士/放射線被ばく相談員/マンモグラフィ撮影認定技師】
- 参考:本ページは医療現場の一般的な運用に基づきます。個別の判断は担当医とご相談ください。
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