レントゲン(X線)検査

レントゲン検査とは?X線の仕組み・被ばく量・安全性をやさしく解説

X線検査ってどんな検査?
Poteto

こんにちは。放射線技師のPotetoです。
病院や健診で一番なじみのある画像検査といえばレントゲン(X線検査)。短時間で終わりますが、「体に害はないの?」「何がわかるの?」と不安に感じる方もいらっしゃいます。ここでは、仕組みから被ばくの目安、妊娠中のポイントまで、やさしく整理してお伝えしますね。

まずは要点
  • X線検査は、体にX線を当てて内部の濃淡を画像化する検査です。
  • 胸部・腹部・骨など幅広い部位で、短時間・低負担で情報が得られます。
  • 被ばくはごくわずかで、検査のメリットがリスクを大きく上回るよう最適化されています。

X線検査のしくみ

  • X線は体を通り抜けるとき、骨(白く写る)空気を多く含む部位(黒く写る)で吸収のされ方が異なります。
  • この違いを画像にすると、肺炎や心不全のサイン、骨折、腸閉塞の所見などを短時間で確認できます。
レントゲン検査:X線の吸収と画像の白黒

検査の流れ

  1. 部位に合わせて、立つ・座る・横になるなど姿勢を調整します。
  2. 技師の合図で数秒間じっと、または息止めをします(ぶれを減らすコツ)。
  3. 撮影は一瞬で終了。痛みはありません。

被ばくはどのくらい?(目安)

検査おおよその実効線量ひとこと
胸部レントゲン(正面1枚)0.1 mSv短時間で肺・心陰影を評価
四肢の骨撮影(1〜2枚)0.01〜0.1 mSv骨折や変形の確認
腹部レントゲン(立位・仰臥)0.3〜0.7 mSv腸管ガスや便塊、閉塞の所見

※ 実際の線量は装置・体格・撮影条件で変動します。日本の自然放射線は平均で約2 mSv/年ほどで、比較の目安にできます。

妊娠中・小児のポイント

  • 妊娠中:撮影部位や週数で対応が変わります。お腹から離れた部位(例:胸部・四肢)では、必要に応じて防護具を使用し、線量は最小化します。妊娠の可能性があれば必ずお知らせください。
  • 小児:成長期の感受性に配慮し、最小限の回数・最適化した条件で撮影します。超音波やMRIなどの代替も状況に応じて検討します。

よくある質問

  • Q. 何度も撮って大丈夫?
    A. 医師が必要性を判断し、最小限の回数で行います。撮り直しを避けるため、合図に合わせてじっとしていただけると安心です。
  • Q. 痛みや副作用はありますか?
    A. X線自体の痛み・感覚はありません。造影剤も使いません(単純撮影の場合)。
  • Q. 鉛エプロンは必ず着けますか?
    A. 撮影部位や年齢・妊娠可能性に応じて適切に使用します。不要部位の被ばく低減に役立ちます。

まとめ

  • X線検査は短時間・低負担で、病気の早期発見に役立つ基本検査です。
  • 被ばくはごくわずかで、メリットがリスクを大きく上回るように最適化されています。

参考文献

  1. ICRP Publication 102. Managing patient dose in multi-detector computed tomography (MDCT). Ann. ICRP 37(1), 2007.
  2. ICRP Publication 105. Radiological Protection in Medicine. Ann. ICRP 37(6), 2007.
  3. 日本放射線技術学会 編. 医用放射線技術実験学 第4版. 南山堂, 2019.
  4. 日本医学放射線学会. 医療被ばくガイドライン2020.
  5. 厚生労働省. 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(第5版).
  6. 日本原子力研究開発機構(JAEA). 身のまわりの放射線.
  7. 北里大学病院 放射線部. 医療の中の放射線基礎知識.
  8. 日本放射線技術学会 編. 放射線防護学 第3版. 南山堂, 2020.
  • 最終更新日 2025/9/28
  • 執筆者 Poteto (診療放射線技師/放射線管理士/放射線被ばく相談員/マンモグラフィ撮影認定技師)
  • 免責 本サイトの情報は個別診療に代わるものではありません。 
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放射線技師
総合病院に勤務している放射線技師のPotetoです!放射線に関する不安や疑問に寄り添うために、このブログを立ち上げました。日々の生活に役立つ放射線の知識や、放射線技師の仕事についてわかりやすく発信しています。
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