PET検査ってどんな検査?放射線技師がわかりやすく解説【シンチグラフィとの違いも紹介】
こんにちは。放射線技師のPotetoです。
「PET検査(ペット検査)」という言葉を耳にしたことはあっても、実際にどんなことをする検査なのか、どんな仕組みなのか、不安に感じる方も多いと思います。
今回は、核医学検査の中でも「PET(ペット)検査」に限定して、できるだけやさしく、わかりやすく紹介していきます。 ※前回の記事「核医学検査(シンチグラフィ)」とは別の検査です。
PET検査とはどんな検査?
PET検査は、体の中の「代謝(エネルギーの使われ方)」を調べる検査です。 PETは Positron Emission Tomography(陽電子放出断層撮影) の頭文字をとった名称です。
体内にごく少量の放射性医薬品を注射し、その薬がどの場所で多く集まるかを撮影します。 もっとも有名な薬は、ブドウ糖に似たFDG(フルオロデオキシグルコース)です。 ブドウ糖を多く必要とする細胞はブドウ糖に似たFDGをたくさん取り込むため、その場所が画像上で明るく映ります。

がん細胞は正常細胞よりも多くのエネルギーを使うため、PETで見つけやすくなるのです。
PET検査で何がわかるの?
PETでわかるのは、細胞の活動(代謝)の強さです。
そのため以下の診断に役立ちます。
- がんの発見(全身を一度に調べられる)
- がんの転移の有無
- 治療効果の判定(抗がん剤や放射線治療が効いているか)
- がんの再発の早期発見
- 炎症や感染の評価(炎症が強い部分にも集まる)
PETは、特にがん診断に強みを持つ検査です。
シンチグラフィ(SPECT)との違いは?
核医学検査には「PET」と「シンチ(SPECT)」があります。
| 比較項目 | PET | シンチ(SPECT) |
|---|---|---|
| 使用する薬 | FDG(糖代謝を見る) | 臓器ごとに多数種類 |
| わかること | 細胞の代謝 | 血流・臓器の働き |
| 主な用途 | がん診断、再発や治療効果の評価 | 心臓、脳、骨、腎臓などの機能評価 |
| 画像の特徴 | 解像度が高い | 臓器ごとに広く評価できる |
ざっくり言うと、 ● PET → 細胞の活動(代謝)を見る検査 ● シンチ → 臓器の働き(機能)を見る検査
という違いがあります。

PET検査の流れ
検査前4〜6時間は食事をひかえていただきます。 血糖値が高いとFDGがうまく働かないため、食事制限が必要です。
静脈注射で行われます。
体を動かすと筋肉にFDGが集まってしまうため、ゆっくり休んでいただきます。
ベッドに寝たままゆっくり撮影します。痛みはありません。
検査後は飲食も運動も普段通りできます。 FDGは時間とともに自然に排出されます。
放射性医薬品を体に入れても大丈夫?
「放射性」と聞くと不安になりますが、PET検査で使うFDGは極めて少量です。 体内での動きが明確に管理されており、時間が経つと尿や汗として排出されます。
半減期も短く、体に長く残ることはありません。 国際的な指針に基づいて安全に使用されています。
妊娠・授乳中の方は事前の申告が必要ですが、それ以外では大きな制限はありません。
放射線技師として感じるPET検査の魅力【経験談】
PET検査は、他の検査では見つけにくい病変を見つけられることが多く、 がん診断における強い味方だと感じています。
また、PET検査はCTやMRIのように救急対応で使われることがほとんどなく、 検査を担当する放射線技師は比較的限られています。 そのため、この検査に詳しい技師も多くはありません。
わからないことや不安なことがあれば、遠慮なく当日の担当放射線技師に声をかけてくださいね。
普段からPETを扱っている技師であれば、検査の流れや注意点など、より詳しい情報をお伝えできます。
まとめ
PET検査は、体の中のエネルギー代謝を見ることができる特殊な検査で、 主にがんの発見・治療効果判定・再発の評価などに使われています。
放射性医薬品はごく少量で、安全性も国際的に確認されています。 痛みも少なく、検査後の生活制限もありません。
不安なことがあれば、いつでも技師や医師に相談してくださいね。
参考文献
- 日本核医学会「PET検査とは」
- Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging (SNMMI)
- ICRP Publication 128 “Radiation Exposure of Patients in Nuclear Medicine”
- RadiologyInfo.org “PET Scan”
- 最終更新日 2025/12/01
- 執筆者 Poteto (診療放射線技師/放射線管理士/放射線被ばく相談員/マンモグラフィ撮影認定技師)
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