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MRI検査ってどうしてそんなにうるさいの?音の正体と耳を守るための工夫を放射線技師が解説

MRI検査ってどうしてそんなにうるさいの?
Poteto

こんにちは。放射線技師のPotetoです。
「MRI検査を受けたけど、すごくうるさくてびっくりした!」
そんな声を患者さんからよく聞きます。
確かに、MRI検査では「ガンガン」「ドンドン」と大きな音が鳴り続け、初めて受ける方は驚かれるかもしれません。
今回は、そのMRIの音が出る理由と、病院で行われている防音対策について、現場の放射線技師としてわかりやすくご紹介します。

そもそもMRI検査とは?

MRI(磁気共鳴画像診断装置)は、放射線を使わずに磁石と電波を利用して体の内部を撮影する検査です。
脳、脊椎、関節、血管、腹部など、さまざまな部位を高精度に撮影できるため、放射線を使わない安心な検査として広く行われています。

ただし、撮影中は「ドンドン」「ガンガン」という大きな音が断続的に鳴り続けます。 あの音の正体は一体何なのでしょうか?

MRIがうるさい理由:音の正体は“電磁コイルの振動”

MRIの大きな音は、実は機械の故障でも警報音でもありません。 原因は「グラディエントコイル」と呼ばれる装置の高速な電流の切り替えです。

MRIの中では、撮影部位に応じて磁場の強さを細かく変える必要があります。 そのとき電流を急にオン・オフすることで、電磁力によってコイルが強く振動し、その振動音が「ガンガン」「ドンドン」という大きな音として聞こえるのです。

MRIがうるさい理由

音の大きさは90〜120デシベル(dB)程度で、これは救急車のサイレンや電車の通過音と同じくらいのレベル。 長時間聞き続けると耳への負担が大きいため、検査を受けるすべての方に耳の防護対策が義務付けられています。

耳を守るための対策:耳栓とヘッドホン

病院では、MRI検査の際に耳栓またはヘッドホンを使用して、音から耳を守ります。 施設によって方法は異なりますが、共通して言えるのは「患者さんの耳を守ることは法律的にも義務付けられている」という点です。

私の勤務している病院では、使い捨ての耳栓を使用しています。 清潔で衛生的に使えるため、感染対策の面でも安心です。 一方、音楽を流せるヘッドホンタイプを導入している施設もあります。 ヘッドホンを使うと少しリラックスした状態で検査を受けることができるので、閉所が苦手な方にもおすすめです。

耳栓を上手に入れるコツ(放射線技師Poteto流ちょっとしたアドバイス)

「耳栓をしてもあまり効果がない」と感じたことがある方、もしかすると入れ方がうまくいっていないかもしれません。

私がいつも患者さんにお伝えしているコツは、次のとおりです👇

  • ① 耳栓を指で軽くねじって細くします。
  • ② その状態のまま耳の穴に入れて少し待つと、中でゆっくり膨らみフィットします。

このように入れると、耳栓がしっかり密着して外の音を防いでくれます。 きちんと装着できれば、検査中の音が半分以下に感じられることもあります。

耳栓をした後の注意点

耳栓やヘッドホンを装着しても、MRI検査中は技師や看護師の声がある程度は聞こえるようになっています。 ただし、やはり普段よりも聞こえづらくなるため、次のような点に注意してください。

  • 耳が遠い方は、耳栓をつける前に検査説明をしっかり聞いておくこと。
  • 検査中に不安や痛みがあるときは、ブザー(緊急停止ボタン)でいつでもスタッフを呼べること。
  • 耳栓を最後までしっかり装着することで、音の刺激から確実に耳を守れること。

このように、耳を守るだけでなく、安心して検査を受けるための準備も大切です。

病院によって少し違う対策

耳の防護方法は病院によって異なります。 例えば、

  • 音楽を流せるヘッドホンタイプ(リラックス効果あり)
  • 使い捨て耳栓タイプ(衛生的・清潔を維持できる)
  • 耳栓+ヘッドホンの二重防音タイプ(特に高磁場MRIで使用)

どの方法でも、患者さんの安全を守るために十分な防音効果があります。 私の病院のように使い捨て耳栓を採用している施設は多く、 毎回新しい耳栓を使用することで感染対策と快適さを両立しています。

まとめ:MRIの音は「安全に撮影するための音」

MRIの大きな音は驚かれるかもしれませんが、 それは安全に、精密に撮影を行うための音であり、決して危険なものではありません。

検査中は耳を守るための対策がしっかり取られており、 耳栓を上手に入れることで、音のストレスを大幅に減らすことができます。

私たち放射線技師は、患者さんが安心して検査を受けられるように 説明やサポートを丁寧に行うことを心がけています。 もし不安がある場合は、遠慮なくスタッフに声をかけてくださいね。

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参考文献

  • ICRP Publication 105(2007)“Radiological Protection in Medicine”
  • 日本磁気共鳴医学会「MRI安全ガイドライン 第4版」
  • 厚生労働省「MRI検査における安全管理」
  • GE Healthcare MRI Safety Manual(2022)
  • 最終更新日 2025/11/13
  • 執筆者 Poteto (診療放射線技師/放射線管理士/放射線被ばく相談員/マンモグラフィ撮影認定技師)
  • 免責 本サイトの情報は個別診療に代わるものではありません。 
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総合病院に勤務している放射線技師のPotetoです!放射線に関する不安や疑問に寄り添うために、このブログを立ち上げました。日々の生活に役立つ放射線の知識や、放射線技師の仕事についてわかりやすく発信しています。
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