IVR検査ってなに?放射線技師がやさしく解説|治療もできる“身体にやさしい医療”
こんにちは。放射線技師のPotetoです。
病院で「IVR(アイブイアール)」という言葉を聞いたことはありませんか? CTやレントゲンのように“撮影するだけの検査”とは少し違い、IVRは身体に負担の少ない治療を行える医療技術です。
今回は、患者さんから質問を受けることが多い
「IVRって何をするの?」「どんな時に行うの?」 といった疑問に、放射線技師としてわかりやすくお答えします。
IVRとは?どんな検査・治療なの?
IVR(Interventional Radiology:画像下治療)とは、 CT・レントゲン(透視装置)・超音波などで体の中を映しながら、 細い管(カテーテル)や針を使って行う「身体への負担が少ない治療」のことです。
切開する手術とは違い、数ミリ程度の穴から治療を行えるため、 痛みや出血が少なく、回復が早いという特徴があります。
代表的なIVRは次のようなものがあります。
- 血管塞栓術:出血を止める治療
- 血管拡張・ステント留置:血管が狭くなった場所を広げる治療
- 腫瘍塞栓術:がんの栄養血管を塞いで治療
- ドレナージ:お腹の膿や胸の水を抜く処置
- PICC・CVポートの挿入:点滴や化学療法のラインを確保する処置
このように、IVRは病気の“診断”だけでなく“治療”ができる、非常に幅広い分野です。

IVRはなぜ身体にやさしい治療なの?
IVRが「低侵襲治療(身体への負担が少ない治療)」と言われる理由は以下の通りです。
- 数ミリの穴から治療できるため、傷がほとんど残らない
- 全身麻酔が不要なことが多い
- 入院期間が短く、早く日常生活に戻れる
- 高齢の方や持病がある方にも実施できることが多い
お腹を開く外科手術と比べると、患者さんの負担は大きく軽減されます。
どうやって治療するの?IVRの流れ
IVRでは、画像を見ながら細い管(カテーテル)を体の中の目的の場所まで進めていきます。 その際、使用する主な画像は次の通りです。
- レントゲン(透視装置):リアルタイムで血管やカテーテルの動きが見られる
- CT:体の奥深い場所まで安全に誘導できる
- 超音波:針を刺す位置を正確に確認できる
治療は医師が行い、放射線技師は装置操作や撮影条件の調整を担当します。 看護師も治療補助や患者さんの状態管理を行い、チーム医療で安全に治療を進めます。
【経験談】IVRはチーム医療そのもの。技師としてのやりがい
IVR室は、放射線科医、看護師、臨床工学技士、放射線技師が密に連携する場所です。 私がIVRに携わる中で感じているのは、“技師が治療に深く関われる分野”だということです。
たとえば、緊急出血時の血管塞栓術では、時間との勝負。 装置の準備や撮影条件を素早く調整し、 医師が動きやすいように画像を最適化することで、治療成功率に貢献できます。
また、カテーテルの進む角度や血管の描出は、 技師の操作ひとつで大きく変わるため、 IVRは“技術が治療結果に直結する現場”でもあります。

IVRで扱う器材はとても高価で繊細なものが多いため、間違ったものを出さないように、また落としたり壊したりしないように、いつも慎重に確認しながら作業しています。
IVRはどんな人が受けるの?
IVRの対象は非常に幅広く、次のような患者さんが対象になります。
- 外傷による出血を止めたい
- がんの治療の一つとして腫瘍塞栓を行う
- 膿(膿瘍)を出すためにドレーンを入れたい
- 点滴のための太い血管ルートが必要
- 肝臓・腎臓など深部の病変に針を安全に刺したい
外科手術が必要なケースでも、IVRによって状態が改善し、 手術を回避できたり、リスクを下げたりすることもあります。
IVRに使われる放射線量は大丈夫?
IVRでは透視装置(X線)を使用することが多いため、放射線量を気にされる患者さんもいます。 IVRでは、放射線技師が次のような方法で線量を最小限に抑える工夫をしています。
- 必要な部位だけを照射する
- 透視時間を短くする
- 適切な防護具(鉛エプロンなど)を使用
- 高画質が必要な場面以外は線量を下げる
また、治療のメリットが大きいため、 国際的なガイドラインでも「適切に行えば利益が上回る」とされています。

まとめ:IVRは“体にやさしい治療ができる医療”
IVRは、画像を使いながら体の奥にある病変へ安全にアプローチできる、 身体への負担が少ない治療です。
出血を止める、腫瘍を治療する、膿を抜く、血管を広げる―― 従来の手術では難しい治療を、最小限の傷で実施できます。
放射線技師としてIVRに関わることで、 「医師と一緒に患者さんの治療を進める」という大きなやりがいを感じています。
もし治療について不安があれば、遠慮なく技師・医師・看護師に相談してくださいね。
参考文献
- 日本IVR学会「IVRとは」
- ICRP Publication 105(2007)“Radiological Protection in Medicine”
- 日本放射線技術学会「IVRにおける放射線管理」
- Radiology Society of North America “Interventional Radiology Procedures”
- 最終更新日 2025/11/21
- 執筆者 Poteto (診療放射線技師/放射線管理士/放射線被ばく相談員/マンモグラフィ撮影認定技師)
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