放射線検査のアレコレ

CTとMRIの違いをやさしく解説~仕組み・検査時間・被ばくの有無まで~

Poteto

こんにちは。放射線技師のPotetoです。
「CTとMRI、どちらを受ければいいの?」と不安に感じる方に向けて、できるだけやさしく、でも正確にポイントをまとめました。安心して検査に進めるよう、気になる点はいつでもご相談くださいね。

まずは要点
CT:X線を使う検査。短時間で撮影でき、骨・肺・急な出血の評価が得意。
MRI:強い磁場と電波を使う検査。放射線は使いません。脳・神経・関節・骨盤内臓器など軟部組織に強いのが特徴です。

1)しくみと得意分野

CT(Computed Tomography)

  • しくみ:X線を体の周りから当て、コンピュータで断面画像を作ります。
  • 得意:頭部外傷の初期評価、肺の病変、骨折、内出血の確認など。
  • 所要時間:撮影は数秒〜数分。準備〜終了まで多くは30分以内で終わります。

MRI(Magnetic Resonance Imaging)

  • しくみ:強い磁場と電波で、水分子(主に水素)の信号を集めて画像化します。
  • 得意:脳・脊髄、骨盤内臓器、関節・靭帯、骨髄、神経などの詳しい評価。
  • 所要時間:おおよそ15〜45分(内容によっては〜60分)。
  • 被ばく:放射線は使いません

2)検査時間の目安

検査目安時間補足
CT撮影は数秒〜数分(来院〜退出で多くが30分以内)造影や前処置がある場合は少し延びます。
MRI15〜45分(内容により〜60分)動くとブレやすいので、リラックスして受けましょう。

3)被ばくの有無と線量の目安

  • MRI:放射線(電離放射線)は使用しません
  • CT:部位や条件で変わりますが、代表的な実効線量
    • 頭部CT:約2 mSv胸部CT:約7 mSv腹部CT:約8 mSv
    ※施設・装置・体格・目的で前後します。検査は「診断に必要な最小限」に最適化されています。
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4)どちらが選ばれやすい?(一例)

症状・目的選ばれやすい検査理由のポイント
頭をぶつけた・意識が心配(急性期)CT短時間で出血や骨折を確認しやすい
腰痛でしびれ・発熱など“赤旗”所見があるMRI神経の圧迫や感染・腫瘍など軟部組織を詳しく見られる
肺の精密検査(肺炎・結節など)CT肺実質の描出に優れ、短時間で評価可能
脳梗塞の早期診断や脳の質的評価MRI軟部組織コントラストに優れ、微細な変化を捉えやすい

5)妊娠・授乳中のポイント

妊娠中

  • MRI:放射線を使わないため、必要性がある場合に実施されます。
    ただしガドリニウム造影剤は、母児の利益が明確に上回ると判断される場合に限り慎重に検討します。
  • CT:診断上どうしても必要なときは実施されます。撮影部位や妊娠週数に応じて、影響が少なくなるよう配慮します。

授乳中

  • ガドリニウム造影MRI:通常は授乳の中断は不要とされています。不安なときは、遠慮なくご相談ください。

6)体内金属・ペースメーカーがある方へ

  • 近年はMR条件付き(MR-conditional)機器も増え、適切な手順のもとで対応できるケースが広がっています。
  • 安全のため、インプラントや金属の種類・メーカー情報を事前にお知らせください(安全確認や設定が必要です)。

施設によってはMRI対応の機器であったとしても検査を断られる可能性があります。

7)よくある不安と小さなコツ

  • MRIの音が大きい…:耳栓やヘッドホンを使えます。合図も届きますので安心してくださいね。
  • 閉所が苦手…:途中でつらくなったらブザーでお知らせいただけます。無理のない範囲で進めましょう。
  • 造影剤が心配…:必要性・リスク・代替案を事前に丁寧にご説明します(アレルギー歴や腎機能も確認します)。

まとめ

  • CT:速くて骨・肺・出血が得意。放射線を使用(代表値:頭部約2 mSv、胸部約7 mSv、腹部約8 mSv)。
  • MRI:放射線は使わない。軟部組織に強いが、検査時間はやや長め。
  • 迷ったときは、症状や体調、妊娠・授乳、インプラントの有無をふまえて医師にご相談ください。

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放射線技師
総合病院に勤務している放射線技師のPotetoです!放射線に関する不安や疑問に寄り添うために、このブログを立ち上げました。日々の生活に役立つ放射線の知識や、放射線技師の仕事についてわかりやすく発信しています。
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