マンモグラフィ検査

デンスブレスト(乳腺が多い胸)ってなに?日本人女性に多い理由と検査のポイントを解説

Poteto

こんにちは。放射線技師のPotetoです。
最近「デンスブレスト」という言葉を耳にする方が増えました。
乳がん検診の結果で「乳腺が多いタイプ」と言われたけれど、「どういう意味?」「何か悪いの?」と不安になる方も多いと思います。
今回は、デンスブレストの意味や日本人女性に多い理由、そしてどんな検査を受けるとよいかをやさしく解説します。

デンスブレスト(dense breast)とは?

「デンスブレスト」とは、乳房の中で乳腺の割合が多い状態を指します。 乳房は「乳腺」と「脂肪」からできていて、乳腺が多い人は画像上で白っぽく、脂肪が多い人は黒っぽく写ります。

マンモグラフィ(乳房X線検査)は、この白黒のコントラストを利用して病変を見つけますが、 乳腺もがんもどちらも白く写るため、乳腺が多いとがんが隠れてしまうことがあります。 これが「デンスブレストの人は乳がんが見つかりにくい」と言われる理由です。

日本人女性はデンスブレストが多い

実は、日本人女性の約40〜60%がデンスブレストだと報告されています。 海外(欧米)では脂肪の多いタイプの乳房が多く、デンスブレストの割合は20〜30%程度とされています。

さらに日本人女性は、若い世代ほど乳腺が発達しており、乳腺の割合が高い傾向にあります。 これは、体質やホルモンの影響によるもので、特に20〜40代ではデンスブレストの方が多く見られます。 一方、閉経後になると女性ホルモンの減少により乳腺が縮み、脂肪が増えて密度が下がるため、画像上は黒っぽく写るようになります。

日本人の乳腺構造イラスト

つまり、日本ではデンスブレストが“むしろ普通”なのです。 年齢が若いほど乳腺の割合が多い傾向があり、閉経後になると乳腺が減って脂肪が増えるため、画像は黒っぽく写るようになります。

デンスブレストの人はエコー検査も受けたほうがいい?

はい、乳腺が多い人ほどエコー(超音波)検査の併用が効果的です。 マンモグラフィだけでは白く重なって見にくい部分を、エコーで立体的に確認することができます。

エコーは放射線を使わない安全な検査で、痛みもなく、短時間で終わります。 デンスブレストの方は、マンモグラフィ+エコーの両方を受けることで、がんの早期発見率を高めることができます。

海外では脂肪が多く見やすい方が多いため、マンモグラフィ単独で十分なケースが多いですが、 日本のようにデンスブレストが多い国では、エコー併用がとても大切です。

デンスブレストと痛みの関係は?

「乳腺が多い人はマンモグラフィが痛い」とよく言われますが、実際は乳腺密度と痛みはほとんど関係ありません。

マンモグラフィ検査で感じる痛みは、乳房をどのくらい圧迫するかや、乳房の柔らかさ・緊張の程度・ホルモンバランスなどによって変わります。 同じ乳腺量でも痛みを感じる人と感じにくい人がいるのはそのためです。

また、検査を行う技師が丁寧に位置を合わせ、できるだけ短時間で撮影するよう工夫しています。 痛みを感じやすい方は、検査の前に「痛みに弱いです」と一言伝えると、圧迫の強さを調整してもらえる場合があります。

胸が大きい=乳腺が多い、は誤解

「胸が大きい=乳腺が多い」と思われがちですが、実はそうとは限りません。 胸の大きさは脂肪の量にも大きく影響されるため、胸が大きくても乳腺が少ない人もいます。 逆に胸が小さくても乳腺がしっかりしている方もいます。

つまり、見た目の大きさと乳腺密度は別のものです。 乳腺の多さは見た目では判断できず、マンモグラフィを行って初めてわかります。

デンスブレストを知ることは“自分の体を知ること”

「デンスブレスト」という結果が出ても、それ自体が病気というわけではありません。 ただし、乳がんが隠れて見えにくいという特徴があるため、自分の乳腺タイプを知っておくことが大切です。

検診結果で「乳腺が多いタイプ」と書かれていたら、次回の検診ではぜひ医師や技師に相談してみてください。 「エコーも受けた方がよいですか?」と聞くことで、あなたに合った検査方法を提案してもらえます。

まとめ

デンスブレストとは、乳腺が多く白く写るタイプの乳房のこと。 日本人女性では非常に多く、若い世代ほどその傾向があります。 乳腺が多い人は、マンモグラフィだけでなくエコー検査を併用することで、より正確な乳がん検診が可能になります。

乳腺密度と痛みや胸の大きさは関係がなく、デンスブレストはあくまで「体の個性のひとつ」です。 自分の乳房タイプを知って、無理のない検診方法を選びましょう。 不安なことは、いつでも放射線技師に相談してくださいね。

参考文献

  • 日本乳がん検診学会「乳がん検診ガイドライン 2022年版」
  • American College of Radiology (ACR). BI-RADS® Atlas: Breast Imaging Reporting and Data System, 2022.
  • 厚生労働省「がん検診に関する指針」
  • 日本放射線技術学会「乳房撮影における適正撮影条件ガイドライン」
  • 最終更新日 2025/10/18
  • 執筆者 Poteto (診療放射線技師/放射線管理士/放射線被ばく相談員/マンモグラフィ撮影認定技師)
  • 免責 本サイトの情報は個別診療に代わるものではありません。 

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放射線技師
総合病院に勤務している放射線技師のPotetoです!放射線に関する不安や疑問に寄り添うために、このブログを立ち上げました。日々の生活に役立つ放射線の知識や、放射線技師の仕事についてわかりやすく発信しています。
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