マンモグラフィとエコー検査の違い|なぜ両方必要なの?放射線技師がやさしく解説
こんにちは。放射線技師のPotetoです。
乳がん検診を受けた方からよく聞かれる質問があります。
「マンモグラフィをしたのに、なんでエコーも必要なの?」「エコーだけじゃダメなの?」
今日は、そんな疑問にお答えしながら、2つの検査の違いや役割についてわかりやすく説明します。
マンモグラフィとエコー、どちらも“乳房を見る”検査
どちらの検査も乳がんの早期発見に役立つ画像検査ですが、使っている“仕組み”がまったく違います。
- マンモグラフィ: X線(レントゲン)を使って乳房全体の内部を写す検査。
- エコー検査(超音波検査): 超音波を体にあてて、反射して返ってくる音を画像にする検査。
それぞれ得意とする分野が異なります。 マンモグラフィは石灰化(カルシウムの粒)など、早期の乳がんで見られる小さな変化をとらえるのが得意。 一方エコー検査は、しこり(腫瘤)や嚢胞(のうほう:水の袋)など、形のあるものを立体的に見るのが得意です。


なぜ両方必要なの?
乳房の中は人によって構造が異なります。特に若い女性は乳腺が多く、白く写りやすいため、マンモグラフィだけでは内部が見えにくいことがあります。 そのような場合、エコー検査を併用することで見逃しを減らすことができます。
つまり、2つの検査はお互いを補い合う関係にあります。 たとえば、マンモグラフィで写りにくい部分をエコーで確認したり、逆にエコーでは見えにくい石灰化をマンモで発見する、といった形です。
例えるなら、マンモグラフィは「全体の地図を見る検査」、エコーは「虫めがねで詳しく見る検査」といえます。 どちらも大切で、併用することでより精度の高い診断ができるのです。
エコー検査って痛いの?

マンモグラフィ検査がとても痛かったです。エコー検査も痛かったりしますか?
「エコー検査も痛いのかな?」と心配される方がいますが、エコー検査は痛くありません。
検査中はベッドに仰向けに寝て、技師がゼリーを乳房に塗り、超音波の機械(プローブ)をあてて滑らせます。
ゼリーは少し冷たいですが、痛みはまったくなく、10〜15分ほどで終わります。
検査中は会話もできますし、息を止めたり力を入れたりする必要もありません。 圧迫を伴うマンモグラフィが苦手な方でも、エコーはリラックスして受けられる検査です。
エコー検査だけではダメなの?
実は、「エコー検査だけでは見つけにくい乳がん」もあります。 特に、石灰化を伴うタイプの早期乳がんは、エコーでは確認が難しい場合があります。 そのため、マンモグラフィとエコーを組み合わせて行うことが最も効果的とされています。
厚生労働省のガイドラインでも、40歳以上の女性には「2年に1回のマンモグラフィ検診」が推奨されています。 一方、乳腺の密度が高い方(デンスブレストと呼ばれます)や若い女性では、エコーを併用することで診断精度が上がります。
エコー検査も女性技師にお願いできるの?
はい、マンモグラフィと同じく、エコー検査も女性技師が担当できる施設が多くあります。
ただし、施設によっては男性技師しか在籍していない場合もあり、その場合は希望に沿えないこともあります。
どうしても女性技師に検査をお願いしたい場合は、予約や受付の際に事前に伝えておくことがおすすめです。 多くの施設では、患者さんの安心のために可能な範囲で調整してくれます。 遠慮せず、気になることは事前に相談してみてくださいね。
まとめ
マンモグラフィとエコー検査は、どちらか一方ではなく、目的が違う大切な2つの検査です。 マンモは「石灰化などの早期変化」を、エコーは「しこりや嚢胞などの形」を見るのが得意です。 両方を組み合わせることで、より正確に乳がんを見つけることができます。
また、エコー検査は痛みもなく安全な検査で、女性技師への希望も可能です。 「どちらか一方でいいのかな?」と悩んだら、ぜひ医師や放射線技師に相談してみてください。 あなたの安心のために、最も適した方法を一緒に考えてくれますよ。
参考文献
- 日本乳がん検診学会「乳がん検診ガイドライン 2022年版」
- American College of Radiology (ACR). ACR BI-RADS® Atlas: Breast Imaging Reporting and Data System, 2022.
- 厚生労働省「がん検診に関する指針」
- 日本超音波医学会「乳腺超音波検査ガイドライン 第3版」
- 最終更新日 2025/10/14
- 執筆者 Poteto (診療放射線技師/放射線管理士/放射線被ばく相談員/マンモグラフィ撮影認定技師)
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