Poteto
こんにちは。放射線技師のPotetoです。
「MRIを撮りましょう」と言われたとき、「CTとどう違うの?」「磁石って体に影響は?」と不安になりますよね。今日は、MRIのしくみ・流れ・注意点を、やさしく分かりやすくまとめます。
まずは要点
- MRIは強い磁石と電波で体の内部を画像化する検査。放射線は使いません(被ばくなし)。
- 脳・脊椎・関節・骨盤臓器・血管など、やわらかい組織の診断が得意。
- 体内金属や機器の有無など、安全確認をしてから実施します。
1)MRIのしくみ
- MRI(Magnetic Resonance Imaging)は、体内の水素原子の信号を強い磁場+電波でとらえ、コンピュータで画像にします。
- 撮影条件(コントラスト)を切り替えることで、腫瘍・炎症・神経・血流などを詳しく観察できます。
- 放射線(X線)は使用しません。CTと違い、電離放射線による被ばくはありません。
2)どんな時に役立つ?(一例)
- 脳・脊髄:脳梗塞の早期変化、腫瘍、炎症、脱髄性疾患など
- 関節・骨:靭帯・半月板損傷、椎間板ヘルニア、骨髄の変化
- 腹部・骨盤:肝・膵・腎、子宮・卵巣・前立腺などの精密評価
- 血管:MRA(血管撮影)で脳動脈瘤や狭窄、血流評価
3)検査の流れ
- 金属類を外す:アクセサリー、時計、補聴器、ヘアピン、磁気カード等は外します。
- 体位を整える:寝台に横になり、撮影部位に「コイル」という受信器を装着します。
- 検査中の音:「ガンガン」「ドンドン」と大きな機械音が出ます。耳栓やヘッドホンを使用します。
- 検査時間:内容により15〜45分(長いと60分程度)。合図に合わせて息止めをすることがあります。
4)安全確認が必要なもの
- 心臓ペースメーカー・除細動器(CIED):最近はMR条件付き(MR-conditional)機器も増え、対応可能な場合があります。機種名・メーカー情報を事前にお知らせください。
- 人工内耳、脳動脈クリップ、人工関節・プレートなど:材質や固定方法で可否が異なります。手術手帳やインプラントカードをご持参ください。
- 刺青・アートメイク・磁気コスメ:一部に金属顔料が使われている場合、熱感・違和感が出ることがあります。事前申告をお願いします。
- 閉所が苦手:鏡付きヘッドコイル、声かけ、途中で合図できるブザー、オープンMRI等を検討します。
5)造影MRIについて
- ガドリニウム造影剤を静脈注射して、病変の性状や血流を詳しく評価することがあります。
- 多くの方は問題ありませんが、腎機能低下がある場合は慎重に検討します。
- 授乳:通常は中断不要とされています。気になる場合は方法を一緒に相談しましょう。
6)妊娠中のポイント
- MRIは放射線を使わないため、必要性がある場合に選択されます。
- 妊娠初期は適応をより慎重に検討します。ガドリニウム造影は原則として避け、母児の利益が明確なときに限って検討します。
7)よくある質問
- Q. CTより時間がかかるのはなぜ?
A. MRIはやわらかい組織を高いコントラストで描き分けるため、複数条件で撮影します。その分、時間がかかります。
- Q. 金属があると必ずダメ?
A. 種類や条件次第で可能なこともあります。機器情報を把握できれば、安全に対応できる場合が広がります。
- Q. 音が怖いです。
A. 耳栓・ヘッドホン・声かけ・合図ブザーでサポートします。途中で辛くなったら遠慮なくお知らせくださいね。
まとめ
- MRIは磁石と電波で撮影するため、被ばくはありません。
- 脳・神経・関節・骨盤臓器・血管などの評価に強みがあり、診断の大切な役割を担います。
- 体内金属・妊娠・閉所不安などは事前申告で安全に調整可能です。
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総合病院に勤務している放射線技師のPotetoです!放射線に関する不安や疑問に寄り添うために、このブログを立ち上げました。日々の生活に役立つ放射線の知識や、放射線技師の仕事についてわかりやすく発信しています。