こんにちは。放射線技師のPotetoです。
「CTを撮りましょう」と言われて、被ばくや造影剤が心配…という方は多いですよね。今日は、CT検査のしくみや流れ、被ばくの目安をやさしく整理してお伝えします。
まずは要点
・CTはX線を使って体の断面(輪切り)を撮影し、臓器や血管、出血の有無を詳しく調べます。
・レントゲンより情報量が多く、緊急性のある病気(外傷、脳出血、肺塞栓、腸閉塞など)の診断に役立ちます。
・被ばくはレントゲンより多い一方、装置と条件の工夫で必要最小限に抑えられています。
1)CT検査のしくみ
- ドーナツ型の機械の中でX線管球がぐるりと回転し、体の周りからデータを集めます。
- コンピュータで薄い断面像に再構成し、必要に応じて立体表示(3D)も行います。
- 血管や炎症・腫瘍を見やすくするために、造影剤(ヨード造影剤)を腕から注射して撮影することがあります。
2)どんなときに使う?(一例)
- 頭部:脳出血、外傷、脳梗塞の鑑別
- 胸部:肺炎・肺がん・気胸、大動脈や肺動脈の病気
- 腹部骨盤:盲腸炎、腸閉塞、肝・膵・腎の病変、尿路結石
- 骨・関節:骨折の詳細評価、術前計画
3)検査の流れ
- 金属類(ネックレス・眼鏡・入れ歯など)を外し、更衣や体位を整えます。
- 寝台に横になり、技師の合図で数秒〜十数秒の息止めを行います。
- 撮影は数秒〜数十秒で終了。痛みはありません。
- 造影検査が必要な場合は、検査中に造影剤を静脈注射します(体が温かく感じることがあります)。
※ 造影検査は事前の食止め(例:2〜4時間)が指示されることがあります。院内案内に従ってください。
4)被ばくはどのくらい?(代表的な実効線量の目安)
部位 | おおよその実効線量 | ひとこと |
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頭部CT | 約2 mSv | 急性の頭痛・外傷・脳出血の評価に有用 |
胸部CT | 約7 mSv | 肺炎・結節・血管病変の精査 |
腹部CT | 約8 mSv | 腹痛の原因検索(虫垂炎、腸閉塞など) |
※ 日本の自然放射線は平均で約2 mSv/年です。実際の線量は装置・体格・撮影範囲・再構成法(例:逐次近似)で前後します。
5)造影剤は安全?
- ヨード造影剤は、病変や血管を見やすくするために用います。多くの方は問題なく使用できます。
- まれにアレルギー反応(発疹・かゆみ・息苦しさなど)が起こることがあるため、薬剤アレルギー・ぜんそく歴・過去の造影剤反応は事前にお知らせください。
- 腎機能に配慮が必要な場合があります。採血データ(クレアチニン等)を確認して安全に実施します。
- 授乳は通常中断不要とされています。不安があれば事前にご相談ください。
6)妊娠・小児のポイント
- 妊娠中:症状と撮影部位・週数で判断します。必要ならMRIや超音波などの代替を検討し、CTが必要な場合も最小限の線量で実施します。妊娠の可能性は必ずお伝えください。
- 小児:感受性に配慮し、低線量プロトコルと撮影範囲の最適化で実施します。
7)よくある質問
- Q. レントゲンと何が違う?
A. レントゲンは平面の影絵、CTは断面(輪切り)や3Dで内部を詳しく評価できます。
- Q. 被ばくが心配です。
A. 必要性があると判断されたときに限って実施し、装置側の最適化で必要最小限に抑えています。
- Q. 造影剤が不安です。
A. 既往や体調を丁寧に確認し、安全に配慮して使用します。気になる症状があればすぐお知らせください。
まとめ
- CTは短時間で多くの情報が得られる検査で、救急や詳細な診断に強みがあります。
- 被ばくはレントゲンより多いものの、最適化により必要最小限です。
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総合病院に勤務している放射線技師のPotetoです!放射線に関する不安や疑問に寄り添うために、このブログを立ち上げました。日々の生活に役立つ放射線の知識や、放射線技師の仕事についてわかりやすく発信しています。