放射線の基礎知識

「体内放射線」って何?私たちの体の中から出ている放射線

Poteto

こんにちは。放射線技師のPotetoです。
「放射線は外から浴びるもの」と思っていませんか? 実は、私たちの体の中にも自然に放射線を出す物質があり、日常的に体内放射線を受けています。今日は、体内放射線がどこから来るのか、どのくらいの量なのか、食べ物の具体例も交えてやさしくお伝えしますね。

まずは要点
・体内放射線は、主にカリウム40炭素14など自然に存在する放射性物質によるものです。
・食べ物や呼吸を通じて取り込まれ、体内でごくわずかな放射線を出しています。
・量は小さく、ふだんの生活で健康影響を心配する必要はありません

1)体内放射線の主な原因

  • カリウム40(K-40):体に欠かせないミネラル「カリウム」のごく一部が放射性同位体(K-40)です。筋肉や臓器に広く存在し、常にごく微量の放射線を出しています。
  • 炭素14(C-14):呼吸や食事で取り込まれる炭素のごく一部が放射性同位体で、体の組織に含まれます。

2)どのくらい受けているの?(年間の目安)

  • 体内放射線(K-40やC-14など)による年間の受ける量はおよそ0.3〜0.4 mSv/年の範囲に収まります。
  • これは、宇宙や大地からの放射線と合わせた自然放射線の一部です(日本の自然放射線は平均でおよそ2 mSv/年程度)。

3)代表的な食べ物と「K-40由来」の放射線量(目安)

食べ物には自然にカリウムが含まれ、そのごく一部がK-40です。下の表は、一般的な一食分を食べたときに体内で受ける放射線量のおおよその目安です(単位:マイクロシーベルト, μSv)。

食品(1食の目安)カリウム量の目安K-40由来の放射線量(目安)
バナナ 1本(小さめ)約360 mg約0.07〜0.1 μSv
じゃがいも 中1個(皮つき・焼き)約920 mg約0.14〜0.2 μSv
ほうれん草 ゆで 1/2カップ約590 mg約0.1 μSv
枝豆(ゆで)1/2カップ約340 mg約0.06〜0.07 μSv
ヨーグルト(低脂肪・フルーツ入り)1個(170 g)約360 mg約0.07 μSv
牛乳 コップ1杯(200 mL)約75〜80 mg約0.015 μSv

※ 上記は「食品中のカリウム量 → K-40の放射能 → 体内での影響(実効線量)」の手順で換算した概算です。食品や産地、調理法、量で変わります。
※ 「バナナ1本 ≈ 0.1 μSv」は教育的な目安として広く使われる近似です。
※ 牛乳は1リットルで約0.3 μSv程度なので、200 mLではその約1/5が目安です。

4)よくある質問

  • 体内放射線は体に害がありますか?
    ふだんの食事で取り込む量はごく微量で、健康影響を心配するレベルではありません。生命はこの自然の放射線環境で進化してきました。
  • カリウムの多い食品は控えた方がいい?
    いいえ。カリウムは体の働きに必要なミネラルです。栄養バランスを大切にしましょう。

まとめ

  • 体内放射線は、主にK-40やC-14によるごく微量の放射線です。
  • 日本人は年間約0.3〜0.4 mSvの体内放射線を受けています(自然放射線の一部)。
  • バナナやじゃがいも、ほうれん草、乳製品など、ふだんの食品に由来する放射線はごくわずかで、健康上の心配は不要です。

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放射線技師
総合病院に勤務している放射線技師のPotetoです!放射線に関する不安や疑問に寄り添うために、このブログを立ち上げました。日々の生活に役立つ放射線の知識や、放射線技師の仕事についてわかりやすく発信しています。
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