放射線の「確率的影響」と「確定的影響」、しきい線量って何?
yukape9020
Radiation
X線検査やCT検査など、医療における放射線検査は正確な診断のために不可欠です。
一方で、「放射線を浴びて大丈夫なの?」と不安に思われる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、医療放射線の被ばく量の目安や安全性について、信頼性の高い情報をもとにわかりやすく解説します。
検査種別 | 検査名 | 実効線量(mSv) | 備考 |
---|---|---|---|
X線単純撮影 | 胸部正面(PA) | 0.05–0.1 | 通常の胸部レントゲン |
腹部単純撮影 | 約0.6 | ||
骨盤 | 約0.7 | ||
腰椎(側面含む) | 約1.5 | ||
頭部 | 約0.1 | ||
マンモグラフィ(MMG) | 片胸(2方向) | 約0.4 | 両側で約0.8 |
透視・造影検査 | 上部消化管造影(胃透視) | 約3.0 | |
下部消化管造影(注腸) | 約6.0 | ||
静脈性腎盂造影(IVP) | 約2.5 | ||
胆道系造影 | 4.0–10.0 | ||
CT検査 | 頭部CT | 約2.0 | |
胸部CT | 約6.9 | ||
腹部骨盤CT | 約8.0 | ||
頭~骨盤全身CT | 20–30 | がんステージングなど | |
核医学検査(RI) | 骨シンチ(99mTc) | 3–4 | |
心筋シンチ(99mTc) | 約9 | ||
腎シンチ | 約0.5 | ||
ガリウムシンチ | 約20 | ||
FDG-PET(PET-CT) | 約25 | FDG+CT両方含む | |
骨密度検査 | DXA法(腰椎・大腿骨) | 0.001–0.005 | 非常に低線量 |
血管内治療 | 心臓カテーテル検査(PCI含) | 約7.0 | 透視時間による |
脳血管内治療(動脈瘤など) | 3–10以上 | ||
放射線治療 | 頭頸部 | 40–70(総量) | 分割照射の総和 |
乳房 | 約50 | 25回分割など | |
骨転移(緩和照射) | 8–30 | 1–10回 | |
全脳照射 | 20–40 | 回数により変動 | |
全身照射(TBI) | 12–15 | 造血幹細胞移植前など |
出典:
・厚生労働省「医療における放射線被ばくについて」
・ICRP Publication 103, 118
・UNSCEAR 2008 Report
・日本放射線技術学会「放射線の基礎知識」
・NCRP Report No.160
・日本アイソトープ協会「核医学被ばく量の手引き」
📌 参考までに:日本人が1年間で自然界から受ける放射線は平均で約2.1 mSvです(UNSCEAR 2008報告)。
胸部レントゲン1回(約0.1mSv)は、自然放射線のわずか数日分に相当します。
✅ 放射線は体に蓄積される?
→ いいえ。放射線そのものは体に残りません。ただし、DNA損傷などの影響は繰り返しの被ばくで累積する可能性があります。
✅ 医療被ばくは防げないの?
→ 医療被ばくは「利益>リスク」のバランスで判断され、最小限の線量で行われています。
✅ 子どもや妊婦への配慮は?
→ 小児や妊婦には特に注意が払われ、必要性の有無や代替検査の検討がなされます。
放射線検査を過度に恐れることで、必要な検査を避けてしまい、結果的に早期発見や治療の機会を逃すリスクがあります。