放射線の影響

飛行機に乗ると放射線を浴びるって本当?医療検査との違いをわかりやすく解説

飛行機に乗ると被ばくするの?
Poteto

こんにちは。放射線技師のPotetoです。
「飛行機に乗ると放射線を浴びるって本当?」とご質問いただくことがあります。海外旅行や出張、里帰りなど、長時間のフライトは少し心配になりますよね。今日は、飛行機で受ける放射線(宇宙線)と医療検査の被ばくを、やさしく・わかりやすく比べてみます。

・飛行機では宇宙線による自然放射線を、ふだんより少し多く受けます。
・量は高度・飛行時間・ルート(高緯度・極域ほど増える)で変わります。
・通常の旅行で受ける量は健康影響を心配するほどではありません。医療検査(特にCT)と比べるとずっと少ないです。

飛行機で増える放射線の正体

  • 宇宙から降りそそぐ宇宙線が原因です。高度が上がるほど大気の“盾”が薄くなり、地上より線量が少し増えます。
  • 北極圏に近い高緯度ルートや長距離・長時間のフライトほど、受ける量は増えやすくなります。
宇宙船と飛行機の関係

どのくらいの線量?(目安)

  • 国内線の中〜長距離(例:東京⇄沖縄):片道でおおよそ0.01〜0.02 mSv
  • 長距離国際線(例:東京⇄ニューヨーク):片道でおおよそ0.05〜0.10 mSv、往復で0.10〜0.20 mSv程度
  • 米国横断便(例:ニューヨーク⇄ロサンゼルス):片道で約0.02〜0.05 mSv

※ 実際の値は飛行時間・高度・緯度・太陽活動などで前後します。

医療検査との比較

項目おおよその実効線量ひとこと
胸部レントゲン(1枚)0.1 mSv短時間で終わる一般的な検査
頭部CT2 mSv脳出血などの評価で有用
胸部CT7 mSv肺や胸部の精査
東京⇄ニューヨーク(往復フライト)0.10〜0.20 mSv胸部レントゲン1〜2枚分ほどのイメージ

妊娠中やお子さんは大丈夫

  • 数回の旅行や帰省で受ける宇宙線はごく少量で、通常は心配いりません。
  • ただし、頻回に長距離フライトを繰り返す客室乗務員・パイロットなどは、職業上「宇宙線被ばく」の管理対象になります。
  • 不安なときは、妊娠週数や体調、旅程に合わせて主治医にご相談ください。

安心ポイントと上手な向き合い方

  • 飛行機での被ばくは自然放射線の一部。通常の旅行なら健康影響を心配するレベルではありません。
  • 医療検査は必要性と最小限の線量で行われます。検査が必要なときは、医師・放射線技師にご相談ください。。

参考文献

  1. ICRP Publication 132. Radiological Protection from Cosmic Radiation in Aviation. Ann. ICRP 42(1), 2016.
  2. UNSCEAR 2020 Report. Sources, Effects and Risks of Ionizing Radiation.
  3. 宇宙航空研究開発機構(JAXA). 航空機乗務員の宇宙線被ばくに関する調査.
  4. 日本原子力研究開発機構(JAEA). 身のまわりの放射線.
  5. 厚生労働省. 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(第5版).
  6. 日本放射線技術学会 編. 放射線防護学 第3版. 南山堂, 2020.
  7. ICRP Publication 103. The 2007 Recommendations of the International Commission on Radiological Protection.
  • 最終更新日 2025/09/26
  • 執筆者 Poteto (診療放射線技師/放射線管理士/放射線被ばく相談員/マンモグラフィ撮影認定技師)
  • 免責 本サイトの情報は個別診療に代わるものではありません。 
ABOUT ME
Poteto
Poteto
放射線技師
総合病院に勤務している放射線技師のPotetoです!放射線に関する不安や疑問に寄り添うために、このブログを立ち上げました。日々の生活に役立つ放射線の知識や、放射線技師の仕事についてわかりやすく発信しています。
記事URLをコピーしました