日常生活でも被ばくしているって本当?自然放射線と私たちのくらし
Poteto
こんにちは。放射線技師のPotetoです。
「放射線」と聞くと、病院の検査や事故など、特別な場面で使われるものだと思われがちですよね。
でも実は、私たちは普段の生活の中でも、自然に放射線を受けながら暮らしています。
空気や食べもの、大地、そして宇宙からも、ほんのわずかですが放射線は届いています。
それを「自然放射線」といいます。
この記事では、私たちの身のまわりにある放射線の正体と、どのくらいの量を受けているのかを、わかりやすく解説します。
正しく知ることで、放射線を“怖いもの”ではなく“身近な自然の一部”として感じていただけたらうれしいです。
自然放射線ってなに?
「自然放射線」とは、人間が作ったものではなく、自然界に存在する放射線のことをいいます。以下のような種類があります。
| 種類 | 発生源 | 具体例 |
|---|---|---|
| 宇宙線 | 宇宙から地球に降り注ぐ放射線 | 飛行機に乗ると浴びる量が増える |
| 地殻放射線 | 地面や岩石に含まれる天然の放射性物質 | 花崗岩や温泉地など |
| ラドン | 地中のウランなどから発生する気体 | 地下室や古い家屋で多く見られる |
| 食品・体内 | カリウム40などの自然放射性物質 | バナナ、豆類、海藻など |
どのくらい浴びているの?
日本人が1年間に自然放射線から受ける被ばく量は約2.1ミリシーベルト(mSv)といわれています。これはCT検査1回分より少ない量で、健康に悪影響を及ぼすものではありません。
世界平均は約2.4mSvとされており、日本は比較的低い部類です。
飛行機や温泉でも被ばくする?
- 飛行機(特に国際線)では宇宙線の影響が強く、例えば東京〜ニューヨーク間で約0.1〜0.2mSvの追加被ばくがあります。
- 温泉地は地中のラドンなどの影響で放射線量がやや高くなりますが、短時間の入浴で健康に影響はありません。
心配しなくて大丈夫?
結論として、日常生活の中で受ける自然放射線は、健康に影響が出るような量ではありません。過剰に心配しすぎることでストレスになってしまう方が問題です。
特に妊婦さんや小さなお子さんがいる場合でも、通常の生活を送る上では特別な放射線対策は不要です。
まとめ:放射線とうまく付き合おう
放射線は「こわいもの」というイメージがありますが、正しい知識を持つことで安心につながります。
病院での検査でも、「自然放射線に比べてどのくらい?」という視点を持つと、検査の必要性を正しく判断できるようになります。
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自然放射線と病院の放射線被ばくを比べてみよう
参考文献
- UNSCEAR 2008 Report: “Sources and Effects of Ionizing Radiation”
- 環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」
- 国際放射線防護委員会(ICRP)Publication 103
- 最終更新日 2025/9/13
- 執筆者 Poteto (診療放射線技師/放射線管理士/放射線被ばく相談員/マンモグラフィ撮影認定技師)
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