放射線・放射能・放射性物質の違いは?わかりやすく解説

Poteto

こんにちは。放射線技師のPotetoです。
「放射線」「放射能」「放射性物質」は似ている言葉ですが、意味は少しずつ違います。検査やニュースで耳にする機会が多い用語なので、やさしく整理してお伝えしますね。

まずは要点
放射線:物質から飛び出すエネルギーそのもの(X線・γ線・α線・β線 など)
放射能:その物質が放射線を出す能力
放射性物質放射線を出す性質を持った物質(例:ヨウ素131、セシウム137 など)

1)放射線とは?

定義:高い運動エネルギーをもって流れる物質粒子と高エネルギーの電磁波の総称

  • 代表例:X線(レントゲンやCTで使用)、γ線(核医学で観察)、α線・β線(放射性物質から放出)
  • よくある誤解:放射線そのものは体内に残りません。通り抜けるか、吸収されて終わります。
  • 関連する単位:「体が受けた影響の度合い」をまとめるときはシーベルト(Sv)を使います。

2)放射能とは?

定義:ある物質が放射線を出す能力を表す言葉です。

  • 単位:ベクレル(Bq)…「1秒間に何回放射線を出すか(単位時間に放射性崩壊する原子の個数)」を表します。
  • イメージ:同じ放射性物質でも、放射能が高いほどたくさんの回数、低いほどわずかな回数しか放射線を出しません。

3)放射性物質とは?

定義:放射線を出す性質(放射能)を持った物質のことです。

  • 代表例:ヨウ素131(甲状腺に集まりやすい)、セシウム137(筋肉や臓器に取り込まれる)、ラドン(自然界にある気体)など
  • 体との関係:体内に入ると、一定期間体内から放射線が出続けるため、時間の経過とともに少なくなる性質(半減期)や、体から出ていく速さ(生物学的半減期)が大切になります。

4)3つの関係をたとえると

  • 放射性物質=「電球」
  • 放射能=「光を出す能力」
  • 放射線=「光」

5)医療での身近な例

  • X線検査(レントゲンやCT)
    装置から放射線(X線)を出して体を撮影します。検査後に体内に放射線が残ることはありません
  • 核医学検査(PET/シンチグラフィ)
    放射性物質を少量体内に入れて、体内から出てくる放射線(主にγ線)をカメラで検出します。時間の経過とともに体外に排出され、体内の放射能は減っていきます。

6)用語の違いを一目で

用語意味主な単位身近な例
放射線外へ飛び出すエネルギーSv(影響の度合い)/ Gy(吸収量)X線撮影で使うX線、核医学で観察するγ線
放射能放射線を出す能力Bq(1秒あたりの崩壊回数)核医学で用いる薬剤の「用量(MBq)」表示
放射性物質放射線を出す性質を持つ物質ヨウ素131、セシウム137、ラドン など

7)よくある質問

  • 放射線は体に残りますか?
    残りません。放射線は通り抜けるか吸収されて終わります。
  • 放射性物質は体に残りますか?
    入った場合は一時的に残ることがありますが、時間の経過や代謝で体外へ排出されていきます(半減期の考え方)。
  • 「放射線=危険」ではない?
    医療では必要最小限に調整し、得られる利益がリスクを上回る場合にのみ行います。迷ったら遠慮なく相談してくださいね。

まとめ

  • 放射線=エネルギーそのもの、放射能=それを出す能力、放射性物質=その性質を持つ物質。
  • 検査の種類によって「放射線を外から当てる」のか、「放射性物質を体内に入れて観察する」のかが変わります。

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放射線技師
総合病院に勤務している放射線技師のPotetoです!放射線に関する不安や疑問に寄り添うために、このブログを立ち上げました。日々の生活に役立つ放射線の知識や、放射線技師の仕事についてわかりやすく発信しています。
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