放射線の「確率的影響」と「確定的影響」、しきい線量って何?

yukape9020

こんにちは。放射線技師のPotetoです。
「放射線って少しでも浴びると危ないの?」「がんになったり、障害が起きたりするの?」
そんな不安をお持ちの方のために、今回は放射線の人体への影響を次の3つにしぼって解説します。

  • 確率的影響
  • 確定的影響
  • しきい線量(しきい値)

放射線の影響には2つの種類があります

放射線が体に与える影響は、以下の2つに分けられます。

分類内容発生の特徴しきい線量の有無
確率的影響がん・遺伝的影響など線量が増えるほど「起こる確率」が上がる
重症度は変わらない
なし(ゼロでも可能性がある)
確定的影響脱毛・皮膚障害・白内障・不妊など一定線量以下では起こらない
重症度は線量に比例
あり(ただし個人差あり)

確率的影響とは?

放射線を浴びた量が多くなるほど「将来的にがんなどを発症するリスク」が高くなる影響です。

  • リスクは線量に比例しますが、重症度は変わりません
  • わずかな被ばくでもゼロリスクではありません

代表例: 白血病、甲状腺がん、乳がん など

出典:ICRP 103 (2007)、BEIR VII Phase 2 Report (2006)

確定的影響とは?

ある一定以上の線量を浴びると、影響が現れやすくなる影響です。

  • 「必ず起きる」わけではなく、発生率が急激に上昇します
  • 線量が大きいほど重症度も高まる傾向があります
  • 個人差があります(年齢・体質など)

代表例としきい線量の目安:

影響しきい線量の目安備考
皮膚の赤み(紅斑)約2.0 Gy局所的に照射された場合
脱毛約3.0–5.0 Gy頭部への照射
一時的不妊(男性)約0.15 Gy精子形成一時停止
水晶体混濁(白内障)約0.5 Gy累積的な影響
胎児の器官形成異常約0.1 Gy(100 mGy)妊娠3〜8週が最も影響を受けやすい

出典:ICRP 103 (2007), ICRP 118 (2012), UNSCEAR 2008

しきい線量(Threshold Dose)とは?

しきい線量とは、これ以下の線量では影響が出ないとされる線量です。

  • 確定的影響には「しきい線量」があります
  • 確率的影響にはしきい線量はありません

医療放射線検査(一般X線撮影、CT、核医学、血管造影など)において、患者がしきい線量を超えることは極めて稀です

医療で使われる放射線は安全なの?

医学的に必要な検査は、リスクを最小限に抑えつつ、得られる診断的価値が非常に大きいため、世界中の放射線専門機関がその使用を支持しています。

放射線技師・医師は以下のような配慮を常に行っています:

  • 被ばく線量の最小化(ALARA原則)
  • 必要部位のみの照射
  • 検査不要な場合の回避
  • 妊娠の可能性がある場合の事前確認

🔚 まとめ

✅放射線の影響には「確率的」と「確定的」がある

✅確率的影響はがん・遺伝的影響など→しきい値なし

✅確定的影響は皮膚障害や不妊など→しきい値あり

✅医療の放射線検査は安全に管理されている

🔗 参考文献(一次情報)

  1. ICRP. The 2007 Recommendations of the International Commission on Radiological Protection. ICRP Publication 103, 2007.
  2. ICRP. Statement on Tissue Reactions. ICRP Publication 118, 2012.
  3. UNSCEAR. Sources and Effects of Ionizing Radiation. 2008 Report.
  4. National Research Council. BEIR VII Phase 2. National Academies Press, 2006.

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