妊娠中の放射線検査って大丈夫?~赤ちゃんへの影響と正しい理解~
Poteto
こんにちは。放射線技師のPotetoです。
妊娠中にレントゲンやCT検査が必要になったとき、「お腹の赤ちゃんに影響はないの?」「検査を受けても大丈夫なのかな?」と心配される方はとても多いです。
放射線と聞くと「体に悪い」「赤ちゃんに影響しそう」といったイメージを持たれがちですが、実際の医療現場では、妊婦さんと赤ちゃんの安全を最優先に考えたうえで検査が行われています。
この記事では、妊娠中の放射線検査が本当に安全なのか、どんなときに注意が必要なのかを、わかりやすく解説します。正しく理解することで、安心して検査を受けられるようお手伝いできればうれしいです。
妊娠中にレントゲンやCTを受けても大丈夫?
「お腹の赤ちゃんに影響が出ないか心配…」という声は多く聞かれます。
しかし、結論から言えば:
👉 妊娠中であっても、必要な検査は安全に受けられます。
医療で使用される放射線は、適切に管理された量であり、胎児に有害な影響が出ることは極めてまれです。
放射線による胎児への影響はあるの?
放射線の影響は、以下のような要因により決まります:
- 放射線の量(線量)
- 妊娠の時期(週数)
- 照射された部位(胎児が直接照射されるか)
- 繰り返し受けたか(単回か複数回か)
実際には、ほとんどの検査が安全とされる線量範囲内で行われています。
どのくらいの線量なら安全?
| 線量(mGy) | 胎児への影響 |
|---|---|
| ~50 mGy | ほとんどの医療検査はこの範囲。影響なし。 |
| 50~100 mGy | 影響の可能性は低いが、やや注意が必要。 |
| 100 mGy以上 | 催奇形性や発育障害のリスクが統計的に報告あり。 |
📌 通常のCTやレントゲン検査では100 mGy以上に達することはほとんどありません。
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医療機関での放射線検査の被ばく量はどのくらい?
胎児に本当に危ないのはどんなとき?
影響が懸念されるのは以下のような状況です:
- 妊娠4~15週に100 mGy以上の高線量被ばくを受けた場合
- 胎児の中枢神経や臓器が形成される時期
☑ ただし、通常の診断検査でこのような線量に達することはまずありません。
妊娠に気づかず検査を受けてしまったら?
まずは落ち着いてください。
1回の検査による被ばくでは、胎児へのリスクは非常に低いとされており、
ICRPや日本産婦人科放射線研究会も妊娠継続の中止は必要ないとしています。
気になる場合は、医師や放射線技師にご相談ください。
まとめ:不安を感じたら、まずは正しい情報を
| よくある不安 | 正しい知識 |
|---|---|
| 妊娠中にレントゲンは危ない? | 必要な検査は安全です |
| 放射線が赤ちゃんに残る? | 放射線は蓄積しません |
| 少しでも被ばくすると危険? | 通常の検査ではリスクは極めて低い |
| 気づかずCTを受けた | 通常は問題ありません。医師と相談を |
参考文献・出典
- ICRP Publication 84: Pregnancy and Medical Radiation(2000)
- American College of Radiology (ACR) Appropriateness Criteria
- UNSCEAR 2008 Report
- 厚生労働省「医療における放射線被ばくについて」
- 日本産婦人科放射線研究会「妊娠と放射線 Q&A」
- 最終更新日 2025/9/1
- 執筆者 Poteto (診療放射線技師/放射線管理士/放射線被ばく相談員/マンモグラフィ撮影認定技師)
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