こんにちは。放射線技師のPotetoです。
妊娠中に検査が必要になったとき、「MRIは赤ちゃんに影響はないの?」「受けても大丈夫?」と不安に思う方が多いのではないでしょうか。
今日は、妊娠中のMRI検査の安全性と注意点について、やさしく解説します。
MRI検査とは?
MRI(磁気共鳴画像)は強い磁場と電波を利用して体の断面画像を撮影する検査です。レントゲンやCTと違い、X線などの放射線を使わないため、放射線による被ばくの心配はありません。
妊娠中にMRIを受けても大丈夫?
これまでの研究では、妊娠中にMRIを受けても胎児への有害な影響は確認されていません。そのため、必要な場合は妊娠中でも実施されることがあります。
特に、母体や胎児の命に関わるような病気が疑われるときには、MRIが選ばれることがあります。
ただし、妊娠初期(12週まで)は胎児の器官が形成される大事な時期のため、緊急性がない限りは避けられることもあります。検査が必要かどうかは、必ず主治医と相談の上で決められます。
造影剤の使用は注意が必要
MRIでは画像をより詳しくするためにガドリニウム造影剤を使うことがあります。しかし妊娠中の造影剤使用は、胎盤を通過して胎児に移行する可能性があるため、原則として避けられます。
どうしても必要と判断された場合のみ、医師がリスクとベネフィットを比較して慎重に検討します。
検査中に気をつけること
- 大きな音:撮影中は「ドンドン」「カンカン」という大きな音がします。耳栓やヘッドホンを使用して防音します。
- 体位の工夫:妊娠後期はあおむけで長時間横になると血流が悪くなることがあります。必要に応じてクッションを使って姿勢を調整します。
- 金属類は持ち込めない:MRIは強力な磁石を使うため、アクセサリー・時計・金属の入った衣服は外してください。
申告してほしいこと
妊娠中にMRI検査を受けるときには、以下を必ずお知らせください。
- 妊娠している、または妊娠の可能性があること
- 心臓ペースメーカーや人工関節など体内に金属が入っている場合
- 閉所恐怖症や大きな音が苦手で不安がある場合
まとめ
- MRIは放射線を使わないため、妊娠中でも必要な場合には行われます。
- 妊娠初期は可能な限り控えることがありますが、母体や胎児にとって必要なら実施されます。
- ガドリニウム造影剤は原則避けられます。
- 検査中は音や体位に注意し、安全に配慮して行われます。
不安なことがあれば、遠慮なく医師や放射線技師にご相談くださいね。あなたと赤ちゃんの安全を第一に考えて検査を進めていきます。
参考文献
- American College of Radiology (ACR). ACR Manual on Contrast Media, 2024.
- 日本磁気共鳴医学会. MRI検査における安全性ガイドライン, 2020.
- ICRP Publication 84. Pregnancy and Medical Radiation, 2000.
- 厚生労働省「医療における放射線の安全管理」
- 最終更新日 2025/10/2
- 執筆者 Poteto (診療放射線技師/放射線管理士/放射線被ばく相談員/マンモグラフィ撮影認定技師)
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総合病院に勤務している放射線技師のPotetoです!放射線に関する不安や疑問に寄り添うために、このブログを立ち上げました。日々の生活に役立つ放射線の知識や、放射線技師の仕事についてわかりやすく発信しています。