こんにちは。放射線技師のPotetoです。
「内部被ばく」や「外部被ばく」という言葉を聞くと、なんだか怖い印象を受ける方も多いかもしれません。
ニュースなどで耳にしたことはあっても、実際にどんな違いがあるのか、そして日常生活や検査で心配する必要があるのかは、意外と知られていません。
放射線は、医療や自然の中など、私たちの身のまわりにあるものです。
この記事では、「内部被ばく」と「外部被ばく」の違いや、私たちの体への影響をわかりやすく解説します。
正しく知ることで、放射線に対する不安がきっと小さくなるはずです。
外部被ばくと内部被ばく
外部被ばくとは?
定義: 体の外にある放射線源から放射線を受けること。
特徴:
- 放射線が一瞬で通過 or 吸収されて終わる
- 体に放射線が「残る」ことはない
- 検査が終わればそれ以上の被ばくは起きない
内部被ばくとは?
定義: 放射性物質が体内に入り、体の中から放射線を出して被ばくすること。
- 飲食や呼吸で放射性物質を取り込む
- ラジオアイソトープ内用療法(ヨウ素131など)
- PET検査(FDGを使った陽電子断層撮影)
特徴:
- 体の中で放射線を出し続ける(一定時間)
- 排泄・代謝により時間とともに減少
- 外部からの遮蔽(鉛エプロンなど)は効かない
医療での被ばくの種類
| 検査・治療名 | 被ばくの種類 | 備考 |
|---|
| 胸部レントゲン | 外部被ばく | 短時間のX線照射 |
| CT検査 | 外部被ばく | X線を断層的に照射 |
| 放射線治療(外照射) | 外部被ばく | がんに対する高線量照射 |
| PET検査 | 内部被ばく | 放射性薬剤を注射 |
| アイソトープ治療 | 内部被ばく | 放射性物質を飲む/注射 |
放射線は体に蓄積するの?
いいえ、放射線そのものは蓄積しません。
- 放射線(X線・γ線)は通過・吸収されて終わり
- 「残る」ことはありません
- ただし、放射性物質そのものが体内に入ると一時的に「残る」ことがあります(内部被ばく)
放射性物質も、時間とともに排出(尿・便など)されるため、永続的に残るわけではありません。
安全に放射線と向き合うために
- 医療での放射線使用は国際的ガイドラインに基づいて適切に管理されています。
- 不必要な被ばくは避けつつも、検査や治療の利益がリスクを上回る場合には実施されます。
- 心配な場合は、医師や放射線技師に相談しましょう。
参考文献・出典
- ICRP Publication 103(2007)”The 2007 Recommendations of the International Commission on Radiological Protection”
- ICRP Publication 84(2000)”Pregnancy and Medical Radiation”
- UNSCEAR 2008 Report “Sources and Effects of Ionizing Radiation”
- 厚生労働省「医療における放射線被ばくについて」
- 日本放射線影響学会「放射線Q&A」
- 最終更新日 2025/9/1
- 執筆者 Poteto (診療放射線技師/放射線管理士/放射線被ばく相談員/マンモグラフィ撮影認定技師)
- 免責 本サイトの情報は個別診療に代わるものではありません。
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総合病院に勤務している放射線技師のPotetoです!放射線に関する不安や疑問に寄り添うために、このブログを立ち上げました。日々の生活に役立つ放射線の知識や、放射線技師の仕事についてわかりやすく発信しています。